私のボランティア活動(岡部 茂さん)

「私のボランティア活動」―岡部 茂さんの活動を紹介します。

私が岡部さんの定年後の活動状況を尋ねる機会があったのはつい最近の飲み会でのことです。自分の時間を有効に使っておられるのと、厚い情熱を持って取り組んでおられる様子に感動しました。そこで早速、活動内容を伺ったところ快くお話して頂き、ついでに、その活動の一部である「子ども食堂」の現場を訪問する機会を得ましたので、社友会の皆様にもご紹介したいと思い投稿させて頂きました。当日(12月16日)の会場は滋賀県蒲生郡日野町にある「町民会館わたむきホール虹」。約40名の幼児から小学生が、高校生ボランティアの落語やビンゴゲームを楽しんだり大好きなカレーライスを食べて一日を過ごしました。

(投稿者=於保博幸)

岡部 茂さん

Q1.こども食堂の活動内容とその目的について教えて下さいますか?
*子ども食堂の始まりは東京都内の、貧困家庭で給食に食を頼っている子ども達のために個人宅で夕食を作り提供を始めたのが始まりと言われています。現在は大きく分けて、貧困家庭の子供を対象にしている食堂と地域の子ども達の育成を対象にしている食堂があります。しかし貧困だけではなく、現代社会は子ども達の繋がりが非常に希薄になり孤独な子ども達が多数存在するのも事実で、そのような子ども達ももちろん対象にしています。さらに食事のみ提供するところと、食事+触れ合いや勉強を見るところに分かれています。今後、子ども食堂には「食を通し心身の健康の大切さや、集団生活と仲間の大切さを実感してもらう場所」それにプラス「子育て世代の母親に家事に捕らわれる事無く子どもとの触れ合いや、自由時間を持ってもらう場所」の二つが求められていると思います。

Q2.岡部さんがこのボランティア活動に参加されるようになった経緯は何ですか?
*高齢化率上昇⇒地域活動衰退⇒家族内の孤立⇒人間関係の崩壊⇒地域の崩壊、と高齢化社会がもたらす様々な現象はこのような負の連鎖を伴っていく事が予想され、地域活動の衰退化を止めるには今後、高齢者を支えていく子ども達とそれを育てる地域や自然環境に目を向けていくことこそ重要ではないかと考えたのが始まりです。そんな考えの中で2016年11月滋賀県立大学園芸学科のクラスメート4人で、必修授業で学んだ福祉・環境保全に関連する課題解決ができるようなボランティア組織を作ってみようと立案し現在に至っています。
*2017年11月ボランティア組織『YORISOI network』を設立活動開始、2018年5月『特定非営利活動法人 YORISOI network』で法人化し一般からも会員募集し現在に至っています。

Q3.子供でしたら誰でも参加出来るのですか?
*滋賀県の子ども食堂の多くは地域の子どもでしたら誰でもOKの所が多いです。子どもだけでなく、親や大人、老人にも門戸を開いているところも多いです。

Q4.活動されてから何年位になりますか?そして、やりがいについてどの様に思っていますか?
*11月で三年目に入りました。子ども食堂支援事業では多くの子ども達から名前で呼ばれ一緒に食事を出来るまでになり、常に笑顔で接してくれる時、また環境整備事業では県立自然公園の来園者から『奇麗にして頂きありがとう』の言葉を掛けてもらった時、病院外来支援では患者様から『ありがとう助かりました』の言葉を掛けられた時、疲れも忘れ活動していて良かったと思います。特に子ども達の笑顔を思い浮かべながら毎日が楽しく、作業や活動は苦になりません。また、仕事していた時より多くの友人や多くの組織と接触できるようになり、新しい発見と楽しみになっています。

Q5ボランティアスタッフの方々はリタイアされた人が多いですか?
*現在、国内のボランティアを支えているのは60歳以上が50%と約半分を占めています。その内の70%が女性で70歳以上の方が半数を占めます。私達のNPOは現在35名の会員で構成されていますが60%が女性で平均年齢も67歳です。
子ども食堂の経営者はさまざまな年齢層の方でそれを支えるボランティアも様々ですがやはり半数以上は60歳以上の女性となります。

Q6.最近は外国人の方が滋賀県にも沢山住んで居られると聞いていますが「こども食堂」の存在は今後、益々重要になってくると思われますか?
*私達の支援している先に草津多文化センター子ども食堂があります。ここは全員が外国の子ども達です。この食堂は子どもだけでなく大人(子どものいない大人も含め)も多く参加しています。やはりどこの国でもそうかもしれませんが違う人種の受け入れには相当の時間がかかるため、彼らの情報交換の『場所』になっている事は否めません。ですから触れ合いタイムは大人も子どもも同じテーブルで一緒にクラフトや遊びを行い気持ちをほぐしてもらうようにしています。現在国は外国人労働者の雇用問題を討議していますが、受け入れにはこのような多文化センターを各市に整備してから行うようにしなれば、トラブルが今後は増えると考えられます。(習慣の違い・日本語を話せない事での疎外感等を修正していくには彼らが安心して足を運ぶ心の拠り所となる場所が必要です)
*多文化共生センター:1995年創設のNPO法人、外国人の日本語教育や高校進学希望者への教育支援、外国人と日本人との橋渡し等を行っている組織で国内には数か所しかない。

Q7.子供や高齢者の他にも取り組んでおられる活動がありましたら簡単にご紹介下さい。
*子ども食堂専門のフードバンク事業で200坪の耕作放棄地を借り受け野菜栽培育成と無償提供を行う傍ら、子ども達に食育教育も行っています。また県立自然公園の剪定整備事業も行い、そこで出た廃材を使い木工クラフトを子ども達に教えリサイクルについて勉強しており「子ども達の健全な育成」をKeyWordに活動が無限に広がって行っています。その他、NPO以外にも個人で滋賀医科大学病院の外来支援員、居住地区環境整備事業、びわこ文化公園の緑化サポーターの3つのボランティアにも参加しています。

Q8.高齢者がボランティアに参加する時の注意点やポイントはありますか?
*高齢者がボランティアに参加する時の7か条
①健康で健全な精神を持って参加する
(過去を捨て初心に戻る、しかし過去に身に付けた技術はフルに発揮する)
②自分に合った活動を選ぶ(しかし新しい事への挑戦で生きがいを見つけられる事もあります)
③主催者に対しても、活動の相手に対しても目配り・気配り・思いやりの精神を持つ
④共にwinwinの関係を持てるように活動する
(やってやっている・ボランティアを使えば は共倒れになり自己成長しません)
⑤相手が求めない限り深入りしない
⑥自ら対価を求めない
⑦継続的に参加する
以上に、『ちょっとの勇気』(過去を忘れる勇気、一歩踏み出す勇気、提案する勇気)と
『謙虚な気持ち』を持つ事だと思います。

Q9.最後にAZ社友会の皆さんに岡部さんからのメッセージを簡単にお願いします。
*ボランティアに参画していると今までの経験や地位がついつい言動に出てしまう事があるので、そこを意識して行動することが大切だと思います。
今まで素晴らしい医薬品で人類に貢献してきた私達にとって第三の人生をより豊かに過ごす為にも身体が元気なうちは自分に出来る範囲で意欲的に自分や人の為に挑戦出来ればいいのではないかと思っています。

(以上)

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